ブックタイトル未来へ伝えたい阿武の昔ばなし
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未来へ伝えたい阿武の昔ばなし
ささやかな宴うたげをするのがならわしでした。昔、日本中で作物ができず困こまったことがありました。食べるものがとても少なくなり、苦しい日々が続つづきました。ある春の日、奈な古ごの人々はお伊い勢せ山やまにわらびを採とりに出かけました。ところがなかなか見つかりません。いつも生えている場所にもありません。人々はどんどん山の奥おくに分け入りました。何だかあたりはしんとして、うす暗いのです。みんなはふと不ふしぎ思議な感じがして顔を上げました。すると前に見み慣なれないおじいさんが立っているではありませんか。真まっ白な髪かみ、長く白いひげ、白い衣ころも、わらじをはいて一本の杖つえを持っています。おじいさんはにこやかに言いました。「みんな、ご苦く労ろうじゃの。今日はわらびが採とれんようじゃの」村人たちはびっくりして何も言えません。9