ブックタイトル未来へ伝えたい阿武の昔ばなし
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未来へ伝えたい阿武の昔ばなし
ふとんの中でじっと耳をすましていると、「ほぉら、ざわぁざわぁって聞こえるじゃろ?今、大おろち蛇が暗い海を鹿か島しまへ渡わたっていきよるんよ」暗い夜の向こうから風と潮しおさい騒が響ひびいてくるのでした。小学校六年生の秋のことでした。近所の友だち三人で、釜かま屋やのはずれの小高い山の上にある椎しい森もり様さまのほこらまで登ってみました。小さな鳥とり居いは朱しゅいろ色があちこちはげています。赤とんぼがすいすいと飛とんでいる椎しい森もり様さまのほこらの回りはとてものどかでした。でも、ほこらのそばに大きな木が影かげを落とした暗い沼ぬまがあり、静しずかに水をたたえています。何か出てきそうな、ひきずりこまれそうな薄うす気き味み悪わるい静しずかさです。もっと小さかった頃ころ、お母さんが話してくれた、神様のおつかいで海を渡わたり、お行ぎょう儀ぎの悪い子どもをさらう大おろち蛇が棲すんでいるというあの沼ぬまです。14