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概要

未来へ伝えたい阿武の昔ばなし

お着様のいわれも来る船とは様子が違ちがいます。「なんじゃろうか。皆みなにない船が出で鼻ばなの方に着いているのを見つけました。いつきり見えるようなよいお天気です。ふと、一いっ艘そうの見み慣なれのように浜はま辺べに出ました。真向かいの大島の渚なぎまさではっあるよく晴れた秋の朝のこと。五作じいさんはいつも確たしかめたり、沖おきの様子を眺ながめたりするのでした。を大切にしていて、一日に一度は浜はま辺べに出て空そら模も様ようをました。筒つつ尾おに住む人々はみんな、このきれいな浜はま辺べの海かい藻そう、ニナやガゼ(ウニ)などの貝かい類るいもたくさんい江えでした。海岸の出で鼻ばなの岩には、ひじきやわかめなど筒つつ尾おの浜はま辺べは、その頃ころも今と同じく波の静しずかな入り遠い昔のお話です。お着ちゃく様さまのいわれ筒つつ尾おに流れ着ついたお姫ひめ様さまどこから来たの?「若わか宮みや様さま」としてまつり、供く養ようしました。は、猿さるヶが島しまに越こえる峠とうのげ上に、哀あわれな侍さむらのい塚つかを建たててしたが、若わか衆しゅ姿すがたの侍さむらはい、死んでしまいました。人々村人たちの手て厚あつい介かい抱ほうでお姫ひめ様さまは息を吹ふき返しまたためました。いた村人たちはさっそく松まつ葉ばを燃もやして、ふたりをあか。船の中には少しの水とお米の袋ふくがろあるばかり。驚おどろ衆しゅ姿すがのた侍さむらがいぐったりと横たわっているではありませんをはずしてみると、中には十六、七の美しいお姫ひめ様さまと若わかだむしろ)で覆おおわれています。ひとりがそっと、こもモやワラで編あんは、こも(マコてきました。船んな浜はまに集まっこして回り、みは村の人々を起五作じいさん知らせんにゃあ」16