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概要

未来へ伝えたい阿武の昔ばなし

鶴島の悲話えありました。お鶴つるさ輝かがやくようで神々しくさ着たお鶴つるさんはまるでをし、白しろ無む垢くの着物をした。きれいにお化け粧しょう人ひと柱ばしらにたつ日になりまいよいよお鶴つるさんが日々を過すごしました。とに残のこる両親のことを親しん戚せきに頼たのんだりして残のこされたちでおりました。お鶴つるさんは身の回りの整理をし、あらもどこかほっとしたようなところもあり複ふく雑ざつな気持わりません。村人たちはお鶴つるさんを気の毒どくに思いながとどまるように説せっ得とくしましたが、お鶴つるさんの決心は変かちましょう」と言い出しました。両親は驚おどいろて、思いそんな中、話を耳にしたお鶴つるさんが「私わたがしお役にた言わないのでした。うことになると、誰だれも「うちから」とか「私わたがし」とは見はまとまりましたが、では誰だれが人ひと柱ばしにらたつのかとい〔資料提供田中栄氏〕与よの人たちはここで見送り、別わかれを惜おしんだものです。だ鉄道が敷しかれていない頃ころ、どこかへ旅立つ時には木き川になっていますが、ここが木き与よと宇う久くの境さかでいす。ま鶴つる島しまのそばを流れる遠とお根ね川改かい修しゅう工事が進んで小さなじゅうのようにぽつんと残のこったのです。うに島のてっぺんだけが田んぼの中に小さなおまん荒あら波なみが運ぶ砂すなで島のまわりは埋うまり、とうとう今のよなりました。その後、遠とお根ね川が運ぶ土ど砂しゃと、日本海のなこ志ころざをし忘わすれないようにと、この島を鶴つる島しまと呼よぶように村人たちは村のために命を捧ささげたお鶴つるさんのけなげ中に消えてしまいました。した。お鶴つるさんは小さな島から真っ青な日本海の波のちは皆みな、手を合わせてお鶴つるさんの乗った船を見送りました。沖おきに浮うかぶ小さな島に送られるのです。村人たのあいさつをして、おちついた様子で船に乗り込こみまんはやさしい微ほほ笑えみをうかべながら村人たちにお別わかれ19