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概要

未来へ伝えたい阿武の昔ばなし

「むくろじ峠」の名のおこり式部は途と方ほうに暮くれて毎日状じょう況きょうになりました。くことはできないというあって、我わが子を連つれていことになりましたが、わけある時、再ふたたび旅を続つづけるを作って暮くらしていました。の地までやって来て、しばらくこの地にとどまり、歌をする人になりました。諸しょ国こくを巡めぐり歩いて、ここ福ふく賀がのちに我わが子を連つれて、歌を詠よみ、詩を作りながら旅がおりました。和いず泉み式しき部ぶは朝ちょう廷ていに仕えていましたが、平安時代に和いず泉み式しき部ぶという天下に名の知られた歌人「むくろじ峠とう」げの名のおこり幸せを願ねっがて愛あすいる我わが子の〔参考資料『福賀村郷土誌』〕「むくろじ峠とう」げと呼よぶようになりました。そののち、村人たちは誰だれがいうともなく、この峠とうをげに残のこしていくことにしたのです。を、預あずけ置おいていくかわいい我わが子のために、この地き立てました。これまで自分を支ささえてくれた大切な杖つえに成せい長ちょすうる」と言いながら、さかさまにして地面に突つ杖つえに芽めが出て大きく成せいち長ょうするなら、我わが子も必かなずら立りっ派ぱいつき、自分が持っていた「むくろじの杖つえ」を「この見送る我わが子の姿すがた見えなくなったところでふと思ことを祈いのりながら涙なみなだがらに旅立ちました。うしろを振ふり返り、振ふり返り、立りっ派ぱに成せい長ちょしうてくれるやがて出発の日がきました。別わかれを惜おしみながら、ました。打ち明けたところ、快こころくよ預あずかってもらえることになりいることもできず、思いきって地元のお百ひゃく姓しょうに決心を思し案あんをしていましたが、いつまでもここにとどまって65