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概要

未来へ伝えたい阿武の昔ばなし

馬のお祭りさてそれからというもの、付ふ近きん一いったい帯で夜中になるとどこからともなく馬のいななきや道を走る蹄ひづのめ音が聞こえてくるようになりました。村人たちは何となく、「焼やけ死んだ馬のたたりではないか」と恐おそれていたところ、九年後の安あんえい永九年(一七八〇)、十一月一日という同じ日に再ふたびた大火が起こり、同じく百十七戸が焼やけてしまいました。九年を経へながら起きた日と焼やけた戸数が同じという大だい火か災さいに、浦うらの人々は「これはきっと焼やけ死んだあの馬のたたりじゃ」とうわさして震ふるえあがりました。そこで、たたりを恐おそれ、「三度目があってはいけない」と、ワラで馬を作り、おまつりをして非ひ業ごうの死を遂とげた馬の霊れいを慰なぐめさました。お祭りは毎年一月と七月の年二回行われています。その後は大火に見み舞まわれることなくすんでいるのは馬の神様のおかげだろうと言い伝つたえられています。〔資料提供堀伝吉氏〕89